英語のスピーキング力を上達させる“5つ”の方法!【独学の方必見】

「英語はひととおり勉強したのに、スピーキングだけ上達しない」という悩みを抱える日本人は少なくありません。じつは練習方法を少し変えるだけで、スピーキング力が大きく上達することも多いのです。そこで今回は、「日本人が英語のスピーキングを苦手に感じる理由」や「スピーキング力を伸ばす方法」をわかりやすく解説します。
日本人が英語のスピーキングを苦手に感じる理由とは?
そもそもなぜ日本人は、英語のスピーキングをとくに苦手と感じるのでしょうか。
その理由を、5つの観点から解説します。
(1)コミュニケーションに焦点を合わせた方法英語を話す練習をしてきていないから
日本人の英語教育は、「読む」「書く」などのスキルに偏重している傾向があります。授業中に何度も発音練習をしたり、実際に英語で会話をしたりという機会はほとんどないかもしれません。つまり、英語はほとんどの場合「机上の知識」「受験用の知識」になってしまい、「コミュニケーション言語」としては学ばれていないのです。そのため、多くの日本人は英語を話し慣れておらず、スピーキングが苦手という状態になってしまっています。
(2)日本語と同じように、伝えたいことを考えながら話しはじめるから
日本人によくあるのは、英語で話しはじめるときに、まず日本語の文章を組み立てて、それを英訳することです。これでは、日本語にぴったり合う英語を探そうとして、適切な語がなくて戸惑ったり、時間がかかったりしてしまいます。英語のスピーキング力を上達させるためには、「英語を英語として」話す必要があるのです。そのためには、英語を和訳やスペルではなく、「イメージ・感情」で記憶に残しておく必要があります。
(3)胸式呼吸で息が浅く、続かないから
日本人のほとんどは、声帯を震わせて発声する「胸式呼吸」で日本語を話しています。一方の英語は「腹式呼吸」で、息を強く吐いて明瞭に発音するのが特徴です。そのため、日本人が日本語と同じように息の浅い呼吸法で英語を話すと、か細い発音になってうまく聞き取ってもらえません。初心者が頑張ってネイティブのように話そうとしても、息が続かないことも多いのです。まずは英語の「腹式呼吸」に慣れる必要があるでしょう。
(4)音声変化のルールがわからないから
英語には、日本語にはない「音声変化」のルールがあります。例えば、「All of us」という言葉は「オールオブアス」と一語一語区切るのではなく、「オーロバス」のようにくっつけて発音するのが一般的です。これは、単語と単語の音がつながる「連結」という現象です。ほかにも、単語同士がつながることで音が消える「脱落」のような音声変化もあります。こうした法則を頭に入れておかないと、単語をスペルのまま読んだり、ぶつぎりで一語ずつ読んだりしてしまい、ネイティブに伝わらないケースもあるのです。
(5)心(心理構造)を伝えるための英文法を知らないから
日本人が英文法を学習する目的は、英文を読むためや試験で点数を取るためという理由がほとんどでしょう。また、メールで正確な英文を書くためという理由もあるかもしれません。しかし、ネイティブスピーカーと同じ心理状態で、英文を発話するトレーニングをしている日本人学習者は少ないようです。
例えば、「現在完了」という文法のカテゴリーでは、「have+過去分詞」で現在完了になるということは理解できているかもしれませんが、「いま(最近)起こったあなたが知らないことを伝えますよ」という気持ちを込めて発話できている人は少ないです。また、定冠詞の「the」についても、前に出てきた名詞につけるということは理解していても、「わかっているよね、あれ」という気持ちを込めて「the」を発話できている人はあまりいないでしょう。
言葉を生み出す原点は「心理」にあります。文法構造はもちろんのこと、言葉に話し手の心理をのせる術を心得ることが、スピーキング力を上達させるためには必要なのです。
英語のスピーキング力を上達させる5つの方法とは?
英語のスピーキングを上達させるためにはどのような方法があるのでしょうか。
ここでは、効果的な5つのスピーキング学習法を紹介します。
(1)表情・ジェスチャー・イメージを使いながら鏡に向かって話す練習をする
英文を読むときは、言葉に「感情」がのることによってスムーズに話せるようになります。そのため、ひとりで英文を読む練習をするときには、必ず鏡を使うようにしましょう。鏡に向かって、表情・ジェスチャー・イメージを交えつつ話すように意識するのです。そうすれば、スピーキングの際にも自然と感情がのるようになります。
(2)伝えたいことを表すイメージや映像を瞬時につくり出せるようになる
スピーキングの際によくある失敗は、「まず言いたい日本語を頭に浮かべて、それを英訳すること」です。それでは話すスピードが遅くなってしまい、途中で言葉につまってしまいます。伝えたいことを日本語ではなく、「イメージや映像」で瞬時につくり出せるようになりましょう。
イメージが即座に浮かぶようになるためには、単語や熟語を覚える時点で、「イメージ・映像」で記憶することが大切です。例えば、「hurt」という単語は、「痛い」という感情をありありと思い浮かべながら覚えます。すると、「hurt」という言葉を聞くやいなや顔をしかめてしまうくらい、生きた感情と結びつくのです。ぜひすべての例文を読み上げる際には、その場面を頭に思い浮かべてから声に出すようにしましょう。
(3)英語の息の使い方を身につける
日本語と英語の息の使い方は違うため、英語特有の息づかいを身につけるようにしましょう。例えば、「sea」という言葉は、歯や舌で気道を閉じ、お腹から息を出すように発声します。また、「rain」のように「n」を含む言葉は、鼻の奥の空間「鼻腔」を使い、息を抜いて発声するイメージです。「息の使い方」のほかにも、「舌の位置」「口・唇の形」なども正しく身につけることで、よりネイティブに近いスピーキングができるようになります。
※息の使い方や口や唇の形について詳しくは「英語の発音を良くする“4つ”の必須ポイント!【練習法も紹介】」で解説しております。
(4)音声変化のルールを身につける
英語には、日本語にはない音声変化があります。例えば、前置詞や接続詞を弱く読む「弱形」というルールです。「wine and whiskey」という言葉であれば、真ん中の「and」はかなり弱く読みます。また、隣り合う言葉によって音が変わる「同化」というルールもあります。例えば、「Bless you.」の「ブレスユー」は「ブレシュー」のような発音になることが一般的です。このように音声変化のルールを正しく身につければ、聞き取れる英文がはるかに増えます。そして、ネイティブに近い形ですらすらとスピーキングできるようになるでしょう。
(5)心(心理構造)を伝えるための英文法を身につける
英文法を勉強するときも、形式上覚えるのではなく、心を伝えるための方法として身につけることが大切です。例えば、「比較級」なら、「選択肢のなかから自分の好きなものを伝えたい」、「仮定法」なら「『あんなことがなかったら』という後悔を伝えたい」といった感情を込めて覚えます。堅いイメージのある英文法も、実際のコミュニケーションシーンを思い浮かべながら覚えることで、スピーキングで上手に使えるようになるでしょう。
まとめ
英語のスピーキング力を上達させるためには、感情や映像をともなった言葉を、表情やジェスチャーなど非言語的な要素も含めて、正しい発音で練習することが大切です。英語のスピーキングを勉強する際には、スピーキングを意識してつくられた単語帳や文法教材を活用することをおすすめします。頭の中に文字を浮かべてから音声化するのではなく、「心を伝える」ことで、より効果的に「話すための英語力」を身につけることができるでしょう。