バイリンガルになるには?留学せずに国内で英語力を伸ばす方法

バイリンガルになるには?留学せずに国内で英語力を伸ばす方法
バイリンガルのように日本語と英語を自由に使いこなしたいという人は多いかもしれません。日本人だけどネイティブスピーカーのようにかっこよく英語を話したい、バイリンガルになりたいと思っていても、帰国子女や留学経験者でなければ無理……とあきらめていませんか。今回は、国内にいながら、バイリンガルのように英語力を上げていく方法をお伝えします。
そもそもバイリンガルってどういう人?
まずは、バイリンガルの意味をあらためて確認してみましょう。デジタル大辞泉によると、バイリンガルは以下のように定義されています。
1. 2か国語を母語として話すこと。また、その人。
2. 2か国語で書かれている、また話されていること。「バイリンガル放送」
2カ国語を「母語」で話すという定義を考えると、日本で生まれ育ってしまうとバイリンガルになるのは難しいのか……とあきらめてしまいそうになります。しかし、以下のように定義する辞書もあります。
1. 二か国語で書かれていること、また、話されていること。
2.二か国語を、場面・状況に応じて自由に使いこなせること。また、その人。
出典:精選版 日本国語大辞典
「二つの言語を使用する能力をもっている人のこと。この能力に関しては明確な基準はないが、一般にはどのような場面、用途においてもかなり自由にコミュニケーションができるレベル以上のものをいう。(中略)バイリンガルには、家庭や社会の生活環境が2言語併用であることから自然に、同時に2言語を習得する場合と、教育により第二言語を習得する場合がある。」
ニッポニカには、「バイリンガルには、家庭や社会の生活環境が2言語併用であることから自然に、同時に2言語を習得する場合と、教育により第二言語を習得する場合がある」と記載されています。つまり、勉強すればバイリンガルになることも可能というわけです。英語を話す環境に生まれなくても、努力すればバイリンガルを目指せそうですね。ここでは英語と日本語のバイリンガルを前提として紹介します。
海外に行かずにバイリンガルになれる?
母語レベルで英語を身につけるとしても、小さいころから英語圏で育った人と比べるとかなり大変です。特に、日本語が身についた幼少期以降はなかなか難しいかもしれません。英語を日常的に使うことのない日本の国内で過ごしていればなおさらでしょう。ただ、日本国語大辞典や日本大百科全書(ニッポニカ)にあるように、「二か国語を、場面・状況に応じて自由に使いこなせること。また、その人」「二つの言語を使用する能力をもっている人」「どのような場面、用途においてもかなり自由にコミュニケーションができる」というレベルであれば、努力次第で目指せる可能性は十分にあります。
実際、海外留学や海外移住をせずとも、日本国内で英語力を伸ばしている人はいます。ただし、がむしゃらに学んでいれば英語が身につくのではなく、適切な学習法でコツコツと努力を続けていく必要があります。
次項では、英語力を伸ばすためのポイントを見ていきましょう。
バイリンガルを目指して。英語力を伸ばすためのポイント
海外に行かずに国内で英語力を伸ばしていくためのポイントを紹介します。
1.発音を意識する
日本大百科全書(ニッポニカ)によると、「(教育により第二言語を習得する場合)習得された第二言語は第一言語(母語)の特徴の影響を受けることが多い。」とあります。子どものころに英語を自然に身につけた場合、発音もネイティブに近くなることが多いものです。ただし、大人になってから英語を勉強する場合は第一言語(日本語)の影響が強く出るため、意識しないと正しい英語の発音は身につきません。逆にいえば、的確な発音を身につけることができれば、ネイティブスピーカーのような英語を話せることにつながるのです。
英語の発音をネイティブスピーカーに近づける際、役立つのがフォニックスという英語の音声学習法です。
例えば「ABC」をそのまま読むと「エイ、ビー、スィー」ですが、フォニックスの発音ルールでは「ア、ブ、クッ」となります。フォニックスは、英語を習得するときに学ぶ発音ルールのことで、英語圏では小さい子どもが英語を習得するときに、このフォニックスを徹底的に学びます。ただ、残念ながら日本ではほとんど学ぶ場面がないようです。
フォニックスを活用した発音訓練は、大人の発音矯正にも有効です。つづり方と発音のルールを覚えることで、正しい発音が身についてきます。また、知らない単語が出てきたときも、フォニックスのルールを知っていれば正しく発音できるようになるでしょう。まずは、アルファベット26文字がどんな音をあらわすのか、気にかけることから始めましょう。
また、発音の矯正はスピーキングだけでなく、リスニングの力を鍛える際にも有効です。英語に限らず、語学は「聞く」「話す」「読む」「書く」の4技能を総合的に学ぶ必要があります。正しい発音ができなければ、音を正確に聞き取ることができません。モデル音声に合わせて自分の発音を矯正することで、自身の発音もきれいになり、聞く力がアップします。
≪一緒に読みたい記事≫英語の発音を良くする“4つ”の必須ポイント!【練習法も紹介】
2.英語の「瞬発力」を鍛える
バイリンガルは2つの言語を操ることが自然に身についているため、言語間の切り替えもスムーズです。バイリンガル並みの「瞬発力」を鍛えるには、英語を英語で理解することを意識しましょう。
英語学習者がついしてしまいがちなのが、英語で話したり聞いたりするときに「日本語を英語に訳す」、「英語を日本語に訳す」という不要なステップを踏んでしまう点です。頭の中でひとつずつ変換していると、ネイティブスピーカーの会話スピードについていけないだけでなく、日本語をベースにした不自然な英語になってしまいます。こうした間違いを避けるには、日ごろ英語学習を進めるときも「英語から日本語に変換」させるのではなく、イメージをもちいて「英語を英語で理解する」ことを意識しましょう。
例えば、英単語は日本語に翻訳して覚えるのではなく、英語で意味を説明できるようにします。中級者以上は、知らない単語が出てきたら、日本語訳の「英和辞典」だけでなく、英語で英単語の解説をする「英英辞典」も活用しましょう。
リーディングの練習では、単語のかたまりごとに「スラッシュ(/)」で区切る「スラッシュリーディング」を取り入れることで、英語を文頭から読みとく習慣が身につきます。
3.日々の積み重ねが大事
バイリンガルは、日ごろから英語環境に身を置くことで英語力を維持しています。海外で英語を学んできたとしても、帰国して何年も英語に触れないでいるとそのうち英語力が低下してしまうことでしょう。単純に、英語圏で生活すれば英語が身につくというわけではなく、日ごろから学習を重ねて反復することが必要です。特に、普段、英語に触れる機会が少なく、バイリンガルを目指す場合には、積み重ねる努力が欠かせません。
これは、人間の記憶の仕組みが影響しています。記憶にはすぐに忘れてしまう「短期記憶」と長期間たっても鮮明に思い出せる「長期記憶」がありますが、記憶を長期記憶とするには反復学習が欠かせないのです。
短期間で急に英語力を伸ばそうとするのではなく、毎日少しずつ「聞く」「話す」「読む」「書く」の4技能を鍛える努力を積み重ねていくことで、着実に英語力が伸びていきます。
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国内でも、努力次第でバイリンガルになれる
帰国子女や留学経験者だけでなくても、努力次第でバイリンガルを目指せます。海外に飛び出していくことが難しい「withコロナ」の時代ですが、オンライン英会話のように国内にいても生きた英語に触れられるチャンスは増えています。バイリンガルは留学しなくても目指せるものという意識を持ち、正しい英語学習法を取り入れながら、英語力を高めていきましょう。